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転ばぬ先の字幕翻訳講座~入門編

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つい先日、「字幕ネタはしばらくお休みします」と宣言したばかりですが、実務未経験者を対象としたトライアルを実施することになり、慌ててこの記事を書いています。

初めて字幕翻訳に挑戦する人がたどるであろう道と、その原因分析をここに書いておきますので、提出前のチェックなどにお役立てください。

 

【前提】

字幕翻訳には2つの大きな特徴があります。

1)翻訳する素材が映像であること

2)読み手の負担を軽減するため、コンパクトにまとめる必要があること

  (一般的には1秒につき4.0~4.5文字程度。)

 

たったこれだけのことですが、日本語ネイティブの語感を崩壊させるすさまじい破壊力をもっているようです。しかもタチの悪いことに、人に言われるまで気づきにくい。驚かれるかもしれませんが、ここに挙げるのは、どれも歴とした日本人が書いたものです。本当にこういうことが起こり得るのだということを認識して、同じところでつまづかないようご注意ください。

 

ハコ切り

 

映像を見ながらナレーションやセリフを1枚の字幕ごとに切っていく作業を「ハコ切り」と言います。「1枚のハコに収める字幕は2行まで」と言うと、前から順に2行ずつハコを切ってくる人がいます。

 ①25年は長いですね
  その中でも

 ②重要な場面がありました
  失踪から半年後

 ③2人の証人が
  警察で犯人を確認したのに

 ④警察は何も発見できず
  他の手がかりも

 ⑤打ち切りになった
  今も分からないのですが

 ⑥本当にその男が誘拐したのか
  なぜこうなったのですか

 

こうして全て並べてみると、まあなんとなく意味は分かりますが、実際には画面に2行ずつしか表示されません。そう考えると、読み手にやさしくない字幕であることが分かると思います。

まず、前の文のお尻と、後ろの文の頭が1つのハコに入っている点が問題です。また、本人が意味を意識して言葉を組み立てていないため、何を言わんとしているのかよく分かりません。

まずは文末、意味の切れ目、映像の切り替え部分等でハコを切る、そして訳文を書き込んだら再度チェックしてください。

 

次の例文も、字幕にとって不利な分け方をしています。分かりますか?

 

 ①この母親の名前は張雪霞

 ②貴州省都匀市出身
  息子の名は 智智

 ③3歳と4カ月で失踪し
  捜索番組に出演した

 ④メディアの力によって
  長年の捜索を終える思いだ

 

②の前半の主語は母親、後半の主語は息子です。

③の前半の主語は息子、後半の主語は母親です。

日本語は主語を読み手に悟らせることができる言語ですので、その特徴を利用して主語を省略した点は間違ってはいません。

が、隠れ主語をきちんと揃えないと誤読や混乱を招きます。この例文では、特に③の主語が迷子になっているのが気になりますね。主語を揃えるとだいぶすっきりするのではないでしょうか。

 

 ①この母親の名前は張雪霞

  貴州省都匀市出身

 ③息子の名は 智智

  3歳と4カ月で失踪した

 ③彼女は生き別れた息子を捜すため

  テレビ番組に出演した

 

文法の特徴を踏まえて日本語化する

 

もう少し微妙な例も見てみましょうか。

こちらはどうでしょう。

 

 ①父の年齢で
  これ以上心配はかけたくない

 

慣用的にこのような言い方はよくあります。ですが、一瞬で読ませるならもう少し表現を工夫してみてもよいのではないでしょうか。

 

 ①高齢の父に

  これ以上心配をかけたくない

 

主語が「私」であることがより明確になります。

この文は誤文かどうかと言えば微妙なところですが、「主語迷子型」であると同時に、「で」に多くを語らせようとしすぎて意味が不明確という点でも典型的で、何だか気持ちが悪い文です。

 

ずいぶん細かい話だと思われるかもしれませんが、音声で流れてくる大量の情報を簡潔にまとめるためには、両言語の特徴を踏まえて構造を組み替える作業を避けては通れません。

中国語の基本的なパターンは主術文の繰り返しです。対して日本語は連体修飾を多用し、極端な文学作品などでは主語だけで3行に及ぶこともあります。動詞と目的語の位置が逆ということもあり、中国語の語順をなぞるようにして訳すと倒置文や短文の多用となり、滑らかに読み進めることができません。

  
 ①黄恵康は糖尿病だ

 ②民宿の主人の王錦霞は
  食事の塩分を控える

 

こんな感じです。これだと①と②の関係性がよく分かりませんね。

原文の意味を汲むと、全体の主語は「王錦霞」です。これを前にもってきて、さらに黄恵康に関する情報を連体修飾節化すると、ぐっと日本語らしく、関係も明確なります。

 ①民宿の主人 王錦霞は

 ②糖尿病を患う黄恵康のために

  減塩食を提供する

 

連体修飾は非常に便利ですが万能ではありません。特に以下の場合は、慎重になったほうがよいと思います。

1)連体修飾節が長すぎ、それを受ける名詞が同じハコに入らない場合

2)短文でメリハリをつけたい場合

3)被修飾語が集団の場合

       (連体修飾化によって対象の範囲が変わることがあります)

 

 

情報を整理して振り分ける

 

字幕翻訳は「要旨をかいつまんで訳す」とか「言葉を訳すのではなく、心を訳す」と言われます。そう聞くと、心で感じ取って印象に残ったことを自分語で書けばいいと考える人がいるようです。

その結果、キーワードや伏線をことごとく削り落としてしまったり、勝手な解釈で創作してしまったり、同じ内容の反復に貴重な文字数を費やしてしまったり、格調高い文章の雰囲気を表現できなかったりといった問題が生じます。

ですので、私はロジカルに分析して地道に適訳を探すことが重要だと思っています。なぜAを捨ててBを訳出したのか、なぜ上位概念に言い換えたのか、なぜ正体発覚前後で呼び方を変えたのか、なぜ横文字の訳語があるのにあえて漢字+ルビを選択したのか、なぜ原文にない説明を加えたのか、きちんと根拠を求め確信をもってやらないと危険です。

 

では、情報をハコに詰め込みすぎるとこうなります、という文例から。

 

 ①二人とも体が悪く今介護負担は

  全て一人娘の遅燕萍にのしかかる

 

   ①戸にご注目 このような引き戸は

  場所をとらず障害を減らします

 

   ①障害老人の多くは糖尿病で目が

  悪いなど慢性疾患があるので

 

   ①手洗い場の専用手すりは細かい

  所まで老人に配慮されている

 

   ①一日の体験で遅太源と妻張玉媛は

  ここの利用者になりそうだ

 

詰め込めばいいってもんじゃないんだから…と言いたくなりますが、書いている人は必死です。気持ちは分かります。

 

 

では、字幕にはなぜ文字数制限があるのでしょうか?

冒頭で書いた「字幕翻訳の2つの特徴」のうちの1つが、その答えです。

 

 

 

そう、「読み手の負担を軽減するため、コンパクトにまとめる必要がある」

のでしたよね。

  

 

この字幕で、読み手の負担を軽減できるだろうか?

翻訳ソフトではなく人間が訳す意味って何だろう?

 

 

ちゃんと考えながら自分の原稿をチェックしていますか?

文字数制限をクリアすることが目的になってはいませんか? 

 

 

 

「そんなこと言われても、文字数制限厳しいし、情報量は多いし、

どうしろというんだ」と声が聞こえてきそうです。

 

 

 

 

それを考えるのが字幕を作成する作業そのものなのですが、特別にヒントを。

当方から発注する作品に限定して言うなら、

 

1.重複する説明をどのハコで訳出し、どのハコでは省くか、計画的に振り分ける

2.不要な情報を省く

3.言い換えを検討する

 これらの対策が比較的通用します。

 

注意点は、1つのハコの中だけで情報の取捨選択を判断しないことです。

作品をラストまで読み込み、ナレーションやインタビューだけでなく、テロップや横断幕などの情報を拾い、言葉の用法や背景をリサーチした上で、セリフの真意やキーワードをつかみ、確信をもって編集する。

 

…ここまでが下ごしらえです。

 

 

こうして表現するためのゆとりを確保したら、「原語を聴き取ることができない日本人」が読み手であることを念頭において、推敲を重ねていきます。下ごしらえをきちんとしておくと、日本人向けにちょっとした説明を補ったり、差別的表現を言い換えることも可能となります。

 

翻訳者としての腕の見せ所はここからです。しっかり吟味して、気持ちよく読める字幕を仕上げてください。

下ごしらえの段階でつまづかないように。

頑張ってくださいね!

 

 

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高齢チワワの緑内障治療

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花音(かのん)、15歳。

 

我が家で最年長のチワワです。

大きな瞳がチャームポイントと思っていたのですが、

最近どうも目が膨張して、今にも落ちてきそう。

視力もほとんどないようです。

 

 

ある日、気づきました。

 

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目を開けたまま寝ている!

もっと大きく見開いている時もあります。

 

 

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ご高齢なので「ついに、この時が来たか」と一瞬は思いますが、

お腹が呼吸に合わせて動くので、生きているのだと分かります。

 

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近づいてもこのまま。微動だにしません。眼球も動きません。

が、うっかり小屋を揺らすと、老犬とは思えない瞬発力でピョンと跳ね起きます。

 

 

 

 

ちなみに、花音の上階で寝ているココ(11歳)も、かなりの出目です。

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目が出ている子にはよくあることなのかと思い、観察していると・・・

 

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寝ました。

 

 

ちゃんと目を閉じています。

 

 

診断結果と治療 

 

 

花音を動物病院に連れて行き、診てもらったところ、緑内障と診断されました。

眼房(下の図の②)にたまった水がうまく排出されず、膨らんでしまうのだそうです。

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眼球全体が外に押し出されているのではなく、最前面のみが膨張しているのだと知り、ちょっと安心しました。

 

治療法は点眼で、眼房水の速やかな排出を促すさらっとした目薬と、保護作用のあるとろみ目薬を処方されました。

前者は1本5,000円と高価なため、1滴外すと数百円が無駄になってしまうのですが、やってみたら楽勝でした。

 

大きい、出ている、まぶたが閉まらない。

 この条件で外すほうが難しいというものです。

 

それよりも、この大きい目のどこに落としたら、全体にいきわたるかを計算するほうが重要でした。瞬きをしてくれないのですから。

最初は下半分にしかいきわたらないこともありました。

 

ちょっと失敬して、まぶたの上のピョンと出た毛を切らせてもらったら、狙ったところに落としやすくなりました。

 

 

2週間点眼を続けた結果

 

 

点眼をした日は確かに眼房水が減っています。たまに点眼を忘れるとすぐまた膨らむので、効果は確かなようです。症状が軽かった右目は、もう瞬きができるようになりました。

最初のうちは大暴れしていた花音も、点眼するたびに「花音、目薬すっごい上手!」とほめまくっていたので、目を見開いたまま目薬が落ちるのを待つようになりました。

 

獣医さんの話によると、緑内障の進行を遅らせることはできても、回復することはないそうです。

花音の事例をみると眼房水は減るようですが、視力回復や白濁の改善は望めないということでしょうね。

 

とりあえず、目を閉じて寝てもらえるようになれば、というくらいの気持ちで気長に付き合っていきます。

 

 

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宅建士試験まであと1カ月

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建築設計会社さんとのお付き合いで受けることになった宅建士試験。

 

内容はすごく面白いです。

「こんなの覚えて人生の役に立つの?」と疑問を抱きたくなるような内容はまずありません。

「もっと早く知っていればよかった!」を通り越して

「知らないと損!」と思える有益な情報満載で、自分の権利を守るためにも勉強しておいて損のないものだと思いました。

 

不動産業界は価格破壊競走にさらされない恵まれた環境であり、そんな中で宅建士にしかできない独占業務がいくつかあることから、就職に有利な資格としても注目されているらしいですね。

 

それはさておき、

試験1カ月前の、私の進度はというと…

「民法」以外は一通り講義動画を見終わり、演習に入りました!

「お~、順調」と思うでしょう?

 

で、未習の「民法」のボリュームはどのくらいあるかといいますと、

下の画像で、矢印が示している章が「民法」です。 

 

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圧倒的なボリュームにおののいて、後回しにしたのでした。

講義動画44本分ですよ。演習に取り組む時間がなくなってしまいます。

でも講義を聴かなければ、本当にひとっつも頭に入ってきません。

 

かくなる上は、

他をガッチリ固めて、民法は頻出項目だけを勉強する作戦しかないでしょうかね。

そうすれば8項目に絞られます。動画16本視聴して、ひたすら演習。

合格するかは別として、これなら仕事と両立できそうです。

 

さあ、勉強、勉強~

 

字幕翻訳チームの構成と運営方針

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翻訳者公募から1年3か月が経ちました。いろいろと試行錯誤しながら運営してきましたが、ようやく、もっとも省エネで高いクオリティが維持できるだろうと思える方法が固まってきました。これまでの反省と共に、現在の方針についてまとめ、次の記事で新たな人材を募集したいと思います。

 

現在のチーム構成

 

第一期翻訳者:公募前からの古株翻訳者。現在稼働人数は4名ほど。

第二期翻訳者:公募、トライアルを経て採用した翻訳者。現在稼働人数は5名ほど。

技術者:   スポッティング等技術的な作業担当。3名ほど。

 

過去の選抜方法と今後の試み

 

第一期

第一期の翻訳者は、私が能力と適性を見込んでスカウトしてきた人たちです。これまでに両手の指の数くらいはスカウトしました。字幕未経験者や、一緒にお仕事したことのない人も多かったのですが、全員が僅か4~8本の実践&チェックバックで、字幕として成立する原稿が書けるようになり、大いに活躍してくれました。

 

めぼしい人材をスカウトし尽くした後しばらくは、第一期翻訳者の人たちに人材を推薦してもらう、という方法を採っていました。こちらからは条件を明確に示し、紹介者の方も責任感と自信をもって推薦してくださいましたが、なぜか適性が合わない方ばかりで、お互いに非常に疲弊し、紹介者の方にも応募してくださった方にもご迷惑をおかけしました。

 

第二期

そこで昨年は、実験的にトライアルによる選抜という形で新たな人材を募集しました。もちろん、優秀な方をお迎えすることができ効果はあったのですが、最良の方法ではないように思いました。

・応募者が字幕ソフトをセットアップするのに多くの時間を要する。

・応募者が字数制限を気にしすぎて本来の文筆能力や伸びしろの判断が難しい。

・応募者が作品との相性が悪く、能力を発揮できないことがある。

 

今後

次回の募集ではトライアルなしの原石発見方式を試してみたいと思っています。

ご興味のある方は、以下に続きます発注の方針や求める人材像もご覧ください。

 

 

 発注の方針

 

効率的に品質の良い原稿を上げていただくため、以下の原則で発注を行っています。

1.1人の翻訳者は1つの番組専任とし、できるだけ掛け持ちはさせない。

2.7日~10日に1本、コンスタントに発注する(1本25分の番組が主です)

 

コンスタントにお仕事をこなしていただかないと、ベテランの方でもベストな状態をキープするのは難しいようです。あまり余剰な人員は抱えず、少人数に一定量を下回らない発注をするようにしています。

 

翻訳者には1日3時間以上稼働できる主婦の方や、定時で帰れる職場で働くサラリーマンの方などがいらっしゃいます。集中力が必要な仕事ですので、まとまった時間が取れないと難しいと思います。

 

 

求める人材について

 

 

独特な分業制を採用しているため、一般的な翻訳エージェントさんと求める人材像が異なるようです。

分業については以下の記事をご覧ください。 

 

chinese-jimaku.hatenablog.com

 

 

 

求める能力

 

求める能力の優先順位は、以下の通りとなります。

1.日本語の文才

2.情報を整理し、論理的に組み立て直す能力

3.中国語の読解力(目安としては中検2級レベル以上)

4.中国の社会事情に対する理解

 

4はネットや人脈を駆使してリサーチをすることで、ある程度カバーできます。

 

 求める人物像

 

基本的には、いろいろな個性の人がいてかまわない、というスタンスです。

 

上記1に挙げた「文才」にしてもいろいろな個性の方がいらっしゃいます。できるだけ個性に合った作品やテーマを発注していくようにしますので、個性を出していただいたほうがいいです。「この作品は好きになれない」「この司会者は合わない」などもご遠慮なく。

どんな方でも作品との相性があり、相性の良しあしは原稿に出ます。

 

仕事への取り組み方も人それぞれで、絶対に〆切を守る人もいれば、絶対に守らない人もいます(笑)。

遅れてでも妥協のない原稿が上がってくるのであれば、そういうプロ意識もありだと思うことにして、遅れを織り込んで発注します。あまりにひどく、私が徹夜でカバーするようなことが続けば、ちょっと考えるかもしれませんが。

そのあたりは皆さん大人ですし、フリーランスという名の小さな事業主なのですから、分かってやってらっしゃるのでしょう(チクリ/笑)。

 

メールの文面や内容も丁寧な方からあっさりした方まで、いろいろな方がいらっしゃいますが、文面がそっけないので発注量を減らす、といったことはありません。ただ、適切に申し送りを書き添えてくださる方に、責任ある仕事を追加でお任せする、ということはあります。

ほかのお仕事との掛け持ちも、堂々とやっていただいてかまいませんし、ご旅行等でのお休みも申告していただいてかまいません。

良質な原稿を出してくれさえすれば、あまり堅苦しいことを言うつもりはありません。

  

 

フリーランス通訳翻訳者の報酬について

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昨年9月、字幕翻訳業務が多く、人を増やしたのでブログを始めた、という話を書きました。

 

chinese-jimaku.hatenablog.com

  

翌月、さらに仕事が増えたため、このブログにて翻訳者の募集を行いました。

 

 

ある翻訳者の方に、仕事が急減するよりも急増するリスクのほうが怖いので備えておきたい、という話をしたところ、

「なぜ仕事を断らないのですか?」

と、質問を受けました。

 

また、以前から一緒に仕事している仲間は

「この原稿料、時給換算したら相当安くね?」と、率直な意見を述べてくれました。

 

この2つの問いに対しては、私の考え方を明確にお答えすることができますし、皆さんにお伝えしておく必要があると思います。

が、その前に、

フリーランスの報酬が決まっていく過程の一例として、私が個人で受けている別のお仕事の報酬と、その額に至った経緯をご紹介しておきます。

 

フリーランス通訳翻訳者の報酬例

 

建設PJのコーディネート(在宅)   時給2,000円 (時間数は自己申告) 

                                                       もしくは入金額の8~50%(案件による)

出張通訳・視察通訳                       日当25,000円 (交通費別)

専門性の低い通訳案内業務      日当20,000円 (交通費込み)

 

在宅なのに時給制、労働時間は自己申告、という奇妙な報酬形態を採用することになったきっかけは、ある建築設計会社に派遣社員として入ったことでした。

 

私がもらっていた時給は1,600円でしたが、設計会社は派遣会社に2,200円払っていました。「だったら時給2,000円くらいにして、派遣会社を抜きたいね」と事務のおばさんと冗談で話していたところ、本当にその派遣会社がつぶれ、晴れて(?)2,000円で直接雇用されることとなりました。

 

その後フリーになり、元いた会社の紹介で、他の会社からもお仕事をもらうようになりました。紹介であるからにはレートは変えるべきでないと思い、一律2,000円(税別)で通しています。

 

さて、これが高いのか安いのか?は案件によります。①設計料の折衝②契約書の作成③設計費の回収の3点のみならば、費用はたしいてかさみません。電話1本(10分程度)で懸案が解決したり、メール数回のやりとり(30分程度)でお金の回収がスムーズに進むのなら、安いものだと思います。

 

しかし、設計案~現場監修のコーディネートも含むとなると際限なく作業時間が増え、設計会社にとって極めてリスキーです。プロジェクトがこじれにこじれ、何度も修正案を出させられた挙句、政府にごねられて開発は白紙、なんてことになればどうなるか。

成果品を整理して、精算額を交渉して、合意書を作成して…と作業は増えるばかり。しかし設計費は減額されて入金することになるので、私の作業料だけ全額払えとは言いにくい。

 

こうしたリスクを回避するために採用するようになったのが、入金額の数%という計算方法です。総額が比較的低く、とてつもなく手間のかかる(かかる予感のする)プロジェクトに適用します。比率は交通費別で8%、10%、50%など案件によりますが、これらは全て設計会社側が提示してきた数字です。彼らの専門性と過酷な労働を見れば、「少ない」などとは口が裂けても言えないような、誠意のある数字だと思います。

固定給を払うから常勤で事務所に通ってほしい、と言ってくれる会社もあり、その会社には3年ほど通いました。

 

出張通訳費の日当25,000円というのも、ある設計会社から提示された数字です。終日拘束されますが、そのうち半日間は移動もしくは現場を見るだけなので、楽なものです。

 視察案内もほぼ同額でいただくようになり、協働会社の中国人スタッフたちもこれに倣ったので、20,000~25,000円が私の周辺の相場となりました。

 

報酬に対する考え方

 

私は契約書を扱っているので、相手の懐具合はつかめています。カツカツな会社ほど、自分の役員報酬を後回しにしてでも払ってくれようとするので、もらいすぎないよう、会社をつぶさないよう、こちらが配慮することも必要です。

 

逆に、中国から視察に来る不動産会社は、懐に余裕があるため、通訳料を増額してくれたり、高価な贈り物をくれたりします。

 

こういったことは相手の懐具合と、自分に求められるサービス内容と、相手とのお付き合いの度合い等で柔軟に決めていくものであり、世間の相場はいくらだから、とか、自分が食べていくにはいくら必要だから、とか、相手の過酷な労働や自分の貢献度をはかりもせず、一方的な都合をごり押しすべきではないと思います。

 

逆もしかりで、相場が安いから、応募者があるからといって、生活の足しにもならないほどの低賃金で搾取し続ければ、人材は離れていき、品質の低下につながります。

 

字幕翻訳をとりまく環境

 

では、字幕翻訳をとりまく環境とはどんなものでしょうか?

こちらの方のブログをご覧ください。

 

qianchong.hatenablog.com

 

私も字幕翻訳では食べていけないと思っていました。字幕に復帰したのは、家でのんびりするためでした。復帰する直前に勤めていた設計事務所が多忙すぎて精根尽き果て、しばらく休養しようと思ったのです。

 

の、はずが、

あれよあれよという間に仕事がわいてきて、仕事漬けの生活に戻り、

気が付けば「字幕で食べている」自分が存在していました。

 

さて、私たちの原稿料は安いのでしょうか、妥当なのでしょうか?

字幕翻訳者に合った働き方とは?

 

次回に続きます。

 

無料で使える字幕編集ソフト「Subtitle edit」応用編――作業の効率化を図るために

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ソフトのセットアップ方法と操作方法については、以前の記事ですでにご紹介しました。

 

chinese-jimaku.hatenablog.com

  

 

chinese-jimaku.hatenablog.com

 

今回は、すでに基本的な使い方をマスターした方向けに、より効率的に作業を進めるための方法をご紹介していきます。

 

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1.ルールからの逸脱をソフトにチェックさせる方法

 

このソフトに文字数やハコの秒数制限など、字幕のルールを設定しておけば、文字数オーバーやハコの長さオーバーを簡単にチェックでき、初歩的なミスを防ぐことができます。

私は以下のように設定をして作業を行っています。(バージョンは3.4.5です)

 

1.ツールバーの「オプション」→「設定」→「全般」を開く

2.下の画像で赤く囲った項目の数値を設定する。

  各行の最大文字数   :15

  1秒あたりの最大文字数:4.2

  最低表示時間(ミリ秒):1000

  最大表示時間(ミリ秒):6999

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これだけです。

あまり書くことがないので、拡大版ものせておきます。

 

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3.フリーズしやすいパソコンなら、水色で囲った項目「自動バックアップ」を5分ごとに設定しておきましょう。

4.念のため、「オプション」→「設定」→「構文の配色」欄も確認しておきましょう。

すべての項目にチェックが入り、「テキストが次の行を上回る場合に色を付ける」の数字が「2」に設定されていればOKです。

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設定したルールからはみ出ると、該当部分のテキスト欄がオレンジ色に変わり、エラーを知らせてくれます。

ただ、このソフトには「半角スペースはカウントしない」などの詳細設定がないようですので、実際にはオーバーしていなくてもすぐにエラーが出てしまいます。それに字幕は単純に短ければよいというわけでもなく、最低限の情報や漢字とかなのバランスをとるための余裕も必要です。色々試した結果、たどり着いたのが上記の設定です。

 

 

2.ハコのズレを一括修正する方法

 

もう1つ、覚えておくと便利な機能があります。

他の人にハコ割りをしてもらったファイルを自分のソフトに取り込んでみたら、全体にズレていること、ありますよね? 気持ち悪いですよね?

そんなとき、一括で修正する方法があります。

1.ツールバー→「同期」→「すべての時間の調整(早く/遅くする)」を開く。

2.秒数を入力し、「早くする」or「遅くする」をクリックする。

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これだけです。

 

 

3.1つの字幕ファイルに別の字幕を貼りつける方法

 

オープニング主題歌の歌詞を毎回ハコ切りして書き込むのが面倒、という声にお応えして、2つの字幕ファイルを合体させる方法をご紹介します。

 

分かりやすいように、本編のファイルに歌詞のファイルを貼りつける想定で話を進めていきます。

 

1.Subtitle editで本編の字幕ファイルを開く。

2.ツールバーの「ツール」→「字幕の追加」を開く。

3.下のような窓が立ち上がる→「はい」をクリック。

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4.「追加する字幕を開く」→歌詞のファイルを選択

5.下図で

  ①「ビデオを開く」→本編のビデオを開く

  ②「同期」をクリック

  ③「OK」をクリック

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6.「この同期された字幕を追加しますか」→「はい」をクリック

  すると、歌詞の字幕がタイムコードごと本編のラストに貼り付けられます。

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7.歌詞を本来あるべき位置にもっていくには、

「ツール」→「並べ替え」→「開始時間」をクリック。タイムコード通りの順に並び替えられます。

8.最後にテキスト欄の1行目をクリックして青色に変わったのを確かめ、

「ツール」→「番号を振り直す」→「開始番号」を1に設定し「OK」をクリック。

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これで完了です。

タイムコードごとコピーされていますので、音声とハコのズレはほぼ生じないと思いますが、念のため確認してくださいね。

  

中国の高速鉄道切符を日本からネット予約する方法

 

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                         (写真は日本の新幹線です)

今月前半は出張で中国へ行ってきました。

今回は高速鉄道の予約に非常に苦労しました。

正確に言うと、以下の条件を課されながら手配するのが非常に難しかった。

 

①出張者は日本国籍

②中国の携帯番号がない

③日本を出発する前に予約を済ませること

④日本発行のクレジットカードで決済すること

 

友人に頼んだり、銀聯や中国銀行のネットバンキングを使うといった奥の手は封印。

普通の日本人の立場で手配する方法を模索しなければなりません。

しかしネットでリサーチしてもあまり有用な情報が得られず、

旅行社に勤める友人に聞いても「無理なんじゃない?」という反応。

 

出張前は立て込んでいたため、高い手数料を払って代理店に依頼しましたが、

帰国後も執念でリサーチを続け、最良と思われる方法を見つけました。

意外に簡単な方法でした。

でも知らずにネットを彷徨っている方がほかにもいるのではないかと思い、

書き残しておきます。

 

 

  

 

 予約サイトについて

 

私が愛用している予約サイトは「携程網」。多くの中国人も使っています。

携程旅行网官网:酒店预订,机票预订查询,旅游度假,商旅管理

 

航空券は「去哪儿网」、ホテルは「艺龙网」のほうが安いとも言われています。

私はポイントが貯まっていることもあり、「携程」一筋ですが。

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 さて、「携程」で高速鉄道を予約しようとしたところ、日本で発行されたクレジット

カードで決済できなくなっています。たしか以前は使えたはず。

それに今でも航空券やホテルのデポジットには使えます。なぜ高速鉄道だけ…?

 

すぐに「携程」で働く友人に状況を訴え、技術部門に聞い合わせてもらったところ、

「高速鉄道手配サービスは海外クレジットカード決済に対応していません」とのこと。

 

次に、日本の旅行社で働く友人に「日本人のお客さんはどうしてるの?」と尋ねると、

「さあ。携程で無理なら、どこのサイトでも無理なんじゃない?」というお答え。

 

ちなみに、中国人の多くは鉄道部のオフィシャルサイトで購入します。

ここが一番確実。しかしクレジットカードは使えません。

铁路客户服务中心

 

日本の検索サイトで「中国高速鉄道 予約」などと検索をかけると、

いくつか代理手配会社がヒットします。その中の1社に見積もりをとると…

 

324元の切符に対し、手数料90元。実に27%!

さらに海外クレジットカード決済手数料が3%!

手数料合計30%!

 

という驚くべき手数料の提示。しかし強気な手数料は他に方法がないことを

裏付けているのではないかと考え、会社に手数料を払ってもらって購入しました。

 

 

 

 

答えはスタート地点のそばに

 

帰国後、さらに調べてみると、意外な事実が判明しました。

 

「携程」の日本語サイトで

日本のクレジットカード決済が可能だった

 

のです。

 

「携程(Ctrip)」の日本語サイトはこちら。

中国最大級の予約サイト!【Ctrip.com】

 

手数料も海外クレジット決済手数料の3%のみ。

日本語版サイトでしか受けられないサービスというのもあったのですね。

 というお話でした。

 

ご存じとは思いますが、高速鉄道に乗る際、中国の身分証を持たないというだけで

外国人はすでに大きなハンデを負っています。当日は早めに駅に行って、窓口に並び、

切符を発券してもらいましょう。予約番号とパスポートを忘れずに。

また、出発駅以外で切符を発行する場合は1枚5元の手数料がかかります。

 

高速鉄道は乗ってしまえば快適です。貴重品の管理にだけは気をつけて、鉄道の旅を楽しんでください。

 

よりスムーズで快適な旅にするために

 

「携程(Ctrip)」にはスマホアプリもあり、予約したホテルや航空券、列車の情報をスケジュール順に表示してくれます。これがとても見やすくて便利です。

 

また、「航旅纵横」というアプリはパスポート情報を登録しておくだけで、搭乗予定の中国国内便が自動的に表示され、このアプリ1つで全ての便の座席指定や遅延の確認ができます。

チェックイン済み、搭乗済み、到着済み等の進捗も表示されるため、家族や秘書のスマホに登録しておき、自分の足取りを把握させるといった使い方もできます。

 

レンタルWifiはエクスモバイルがいいと思います。値段設定も安いですし、中国の閲覧規制を受けません。通常は中国で使うことができないgmailやyoutube、facebook、Twitter、lineなども開くことができます。

数人で行動するなら、「容量型Wifi」というプランの2Gか5Gをレンタルして、シェアするのがお得だと思います。1人で短期間なら、割高になりますが1日650円のプランもあります。

海外WiFiならエクスモバイル

 

SIMフリーのスマホを持っているなら、中華圏用のSIMカードを買って入れ替えるのも有力な選択肢の1つになると思います。使い捨てとしても、チャージして長期間用としても使えます。

  

中国旅行にトラブルはつきもの。これらのツールがきっと役に立ってくれるでしょう。