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HARUSAME blog

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フリーランス通訳翻訳者の報酬について

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昨年9月、字幕翻訳業務が多く、人を増やしたのでブログを始めた、という話を書きました。

 

chinese-jimaku.hatenablog.com

  

翌月、さらに仕事が増えたため、このブログにて翻訳者の募集を行いました。

 

 

ある翻訳者の方に、仕事が急減するよりも急増するリスクのほうが怖いので備えておきたい、という話をしたところ、

「なぜ仕事を断らないのですか?」

と、質問を受けました。

 

また、以前から一緒に仕事している仲間は

「この原稿料、時給換算したら相当安くね?」と、率直な意見を述べてくれました。

 

この2つの問いに対しては、私の考え方を明確にお答えすることができますし、皆さんにお伝えしておく必要があると思います。

が、その前に、

フリーランスの報酬が決まっていく過程の一例として、私が個人で受けている別のお仕事の報酬と、その額に至った経緯をご紹介しておきます。

 

フリーランス通訳翻訳者の報酬例

 

建設PJのコーディネート(在宅)   時給2,000円 (時間数は自己申告) 

                                                       もしくは入金額の8~50%(案件による)

出張通訳・視察通訳                       日当25,000円 (交通費別)

専門性の低い通訳案内業務      日当20,000円 (交通費込み)

 

在宅なのに時給制、労働時間は自己申告、という奇妙な報酬形態を採用することになったきっかけは、ある建築設計会社に派遣社員として入ったことでした。

 

私がもらっていた時給は1,600円でしたが、設計会社は派遣会社に2,200円払っていました。「だったら時給2,000円くらいにして、派遣会社を抜きたいね」と事務のおばさんと冗談で話していたところ、本当にその派遣会社がつぶれ、晴れて(?)2,000円で直接雇用されることとなりました。

 

その後フリーになり、元いた会社の紹介で、他の会社からもお仕事をもらうようになりました。紹介であるからにはレートは変えるべきでないと思い、一律2,000円(税別)で通しています。

 

さて、これが高いのか安いのか?は案件によります。①設計料の折衝②契約書の作成③設計費の回収の3点のみならば、費用はたしいてかさみません。電話1本(10分程度)で懸案が解決したり、メール数回のやりとり(30分程度)でお金の回収がスムーズに進むのなら、安いものだと思います。

 

しかし、設計案~現場監修のコーディネートも含むとなると際限なく作業時間が増え、設計会社にとって極めてリスキーです。プロジェクトがこじれにこじれ、何度も修正案を出させられた挙句、政府にごねられて開発は白紙、なんてことになればどうなるか。

成果品を整理して、精算額を交渉して、合意書を作成して…と作業は増えるばかり。しかし設計費は減額されて入金することになるので、私の作業料だけ全額払えとは言いにくい。

 

こうしたリスクを回避するために採用するようになったのが、入金額の数%という計算方法です。総額が比較的低く、とてつもなく手間のかかる(かかる予感のする)プロジェクトに適用します。比率は交通費別で8%、10%、50%など案件によりますが、これらは全て設計会社側が提示してきた数字です。彼らの専門性と過酷な労働を見れば、「少ない」などとは口が裂けても言えないような、誠意のある数字だと思います。

固定給を払うから常勤で事務所に通ってほしい、と言ってくれる会社もあり、その会社には3年ほど通いました。

 

出張通訳費の日当25,000円というのも、ある設計会社から提示された数字です。終日拘束されますが、そのうち半日間は移動もしくは現場を見るだけなので、楽なものです。

 視察案内もほぼ同額でいただくようになり、協働会社の中国人スタッフたちもこれに倣ったので、20,000~25,000円が私の周辺の相場となりました。

 

報酬に対する考え方

 

私は契約書を扱っているので、相手の懐具合はつかめています。カツカツな会社ほど、自分の役員報酬を後回しにしてでも払ってくれようとするので、もらいすぎないよう、会社をつぶさないよう、こちらが配慮することも必要です。

 

逆に、中国から視察に来る不動産会社は、懐に余裕があるため、通訳料を増額してくれたり、高価な贈り物をくれたりします。

 

こういったことは相手の懐具合と、自分に求められるサービス内容と、相手とのお付き合いの度合い等で柔軟に決めていくものであり、世間の相場はいくらだから、とか、自分が食べていくにはいくら必要だから、とか、相手の過酷な労働や自分の貢献度をはかりもせず、一方的な都合をごり押しすべきではないと思います。

 

逆もしかりで、相場が安いから、応募者があるからといって、生活の足しにもならないほどの低賃金で搾取し続ければ、人材は離れていき、品質の低下につながります。

 

字幕翻訳をとりまく環境

 

では、字幕翻訳をとりまく環境とはどんなものでしょうか?

こちらの方のブログをご覧ください。

 

qianchong.hatenablog.com

 

私も字幕翻訳では食べていけないと思っていました。字幕に復帰したのは、家でのんびりするためでした。復帰する直前に勤めていた設計事務所が多忙すぎて精根尽き果て、しばらく休養しようと思ったのです。

 

の、はずが、

あれよあれよという間に仕事がわいてきて、仕事漬けの生活に戻り、

気が付けば「字幕で食べている」自分が存在していました。

 

さて、私たちの原稿料は安いのでしょうか、妥当なのでしょうか?

字幕翻訳者に合った働き方とは?

 

次回に続きます。